はじめに
着々と進む消費税増税。
5%から8%へ増税されたことは記憶に新しいですが、政府は10%へと再増税するタイミングを見計らっているところです。
注文住宅の取得については、土地には消費税はかからない(不動産取得税がかかる)ものの、建物の取得には消費税がかかります。
建物が2000万円なら、増税分3%は60万円、増税が5%になると100万円の負担増にもなります。
60万円や100万円、馬鹿にできない金額ですよね。
しかし、実はこの負担増を相殺するような施策が存在しています。
それが、住宅借入金特別控除(通称「住宅ローン減税」または「住宅ローン控除」)です。今回は、この制度について解説いたします!
増税による消費低迷に、何もしない政府ではない!
実は、「新設住宅着工戸数」というものは政府にとっても重要な景気指標です。
増税が理由で新築住宅の着工が落ち込むというのは、政府にとって好ましい状況ではありません。
ですから、収入増のために止むを得ず増税を決めた政府も、それによって住宅業界の景気が冷え込むことにならないように、あの手この手でサポートしています。
その最たるものが、今回ご紹介する住宅ローン減税です。それでは、どこからどのくらい現減税がなされるのでしょうか?
数百万円もの税還付が受けられる!
住宅借入金等特別控除は、その名の通り、住宅借入金すなわち住宅ローンの金額に応じて、その年の所得税額から一定額を控除するという制度です。
その一定額とは、住宅ローンの年末残高の1%。これが10年間続きます。
この制度は税率控除ではなく税額控除のため、その年の所得税率が何%であったかにかかわらず、住宅ローン年末残高の1%が、会社員なら毎年の年末調整で還付されるのです。
例えば、年利1%の全期間固定金利で3000万円を35年ローンで借りるとしましょう。
1月から返済を開始するとした場合の毎年のローン残高と税還付額(百円未満は切り捨て)は下の表の通りです。
|
年末のローン残高 |
税還付額 |
1年目 |
2928万480円 |
29万2800円 |
2年目 |
2855万3734円 |
28万5500円 |
3年目 |
2781万9687円 |
27万8100円 |
4年目 |
2707万8265円 |
27万700円 |
5年目 |
2632万9393円 |
26万3200円 |
6年目 |
2557万3001円 |
25万5700円 |
7年目 |
2480万9011円 |
24万8000円 |
8年目 |
2403万7345円 |
24万300円 |
9年目 |
2325万7928円 |
23万2500円 |
10年目 |
2247万680円 |
22万4700円 |
合計 |
|
259万1500円 |
毎年20万円台の税還付となると、一般的な家計では大変うれしいですね。
その10年間の合計額はなんと約260万円にも上ります。
いかのこの住宅借入金等特別控除のインパクトが大きいか、お分かりになったでしょうか?
住宅借入金等特別控除には、ここに注意!
とはいえ、これだけの効果を持つ住宅借入金等特別控除ですから、いくつかの制約があります。
利用の際には、以下の点には注意しておきましょう。
- 減税期間は10年間。11年目からはこの制度は効力を失います。これを頼りに家計を設計していると、破綻するかも?
- 限度額は40万円。すなわち住宅ローン4000万円分まで。
なお、認定長期優良住宅など一定の条件を満たした住宅の場合は50万円まで限度額が拡大します。 - 減税を受ける年の合計所得が3000万円以下でなければ、減税は受けられない。
- 床面積が50㎡以上で、その半分以上に自分で済まなければならない。
ただこれは、普通に居住用の住宅を新築すれば、当然満たす条件です。
まとめ
- 増税はしたが、政府は住宅取得を援助する施策を行っており、その最大のものが「住宅借入金等特別控除」である。
- 住宅借入金等特別控除では、住宅ローンの年末残高の1%が10年間、所得税額から控除される。
- 控除額の合計は、3000万円のローンで約260万円の上るなど、かなり大きい。
- 限度額40万円や所得制限3000万円など細かな要件があるが、一般的な家庭が住宅を新規取得するのであれば、ほぼ要件は満たす。
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