目次
はじめに
住宅ローンを契約するとき必ずといっていいほどついてくるのが団体信用生命保険の話。
団体信用生命保険は、契約者に万が一のことがあったとき住宅ローンの負債を肩代わりする保険です。
生命保険は家庭に必要な保障額を準備するのが基本。
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新たに発生した負債である住宅ローンも、団体信用生命保険に加入できれば心配いりません。
では、三大疾病特約はどのように考えたらよいでしょう。
三大疾病特約とは
団体信用生命保険の基本形は、契約者が死亡したとき、または高度障害となったとき住宅ローンの残債分の保険金を支給するものです。
三大疾病特約とは、死亡・高度障害のほか、がん・急性心筋梗塞・脳卒中となったときもローン残債分を支給しましょう、というもの。
金融機関によっては、七大疾病特約、八大疾病特約を設定しているところもあります。
この特約、あれば心強いものですが、特約をつけるとその分保険料も上がります。
保険は、「あったらいいな」で契約しているといくらお金があっても足りません。
「ないと非常に困る」保険だけに出費するのが鉄則。
この特約をつけるかつけないかは、家庭の保障全体で考える必要があるのです。
団信と家庭の保障は両建て
まずは、本体契約である団体信用生命保険の給付を確認しましょう。
団信は住宅ローンの残債分の資金を手当するもので、それ以外のカバーはありません。
家庭の保障は団体信用生命保険だけでは充分ではなく、万が一のことがあったときの子どもの学費や家族の生活費を保障する保険との両建てにしなければなりません。
三大疾病になったときのことも同じです。
団体信用生命保険に三大疾病特約をつけたとしましょう。
仮にがんと診断された場合、住宅ローンの残債は保険金で精算でき、財産のうち家は残すことができます。
しかし、闘病のための医療費も生活費も保障されないのです。
本来であれば医療保険であるべきもの
がんは、早期に発見され手術で取り除くことができれば、健康保険の高額療養費制度もあり、費用の負担はさほど大きくはありません。
健康保険の高額療養費制度は原則として1月ごとに一定額以上の自己負担額を補填してくれます。
月給が30万円程度の人が医療機関の窓口で30万円の自己負担額となったとしても、高額療養費制度により月の自己負担額は9万円弱になります。
しかし、抗がん剤や放射線治療が必要となり療養が数ヶ月にわたったときには、自己負担額は月数分増えていき、次第に家計に重くのしかかるものとなります。
三大疾病時を本当に重要視するなら、住宅ローン返済だけでなく総合的な準備を考えなければなりません。
特約は本体契約ありきのもの
では、三大疾病時を特約でカバーすると仮定しましょう。
特約とは、本体契約に付帯する契約のこと。
そして、特約は本体契約が終了したら一緒になくなるものです。
どの契約に付帯して特約を持つかを慎重に考える必要があります。
がんや脳卒中・心筋梗塞は、本来であれば高齢になるほど発症頻度が上がるもの。
そして、何歳でがんになったとしても、必要な医療費は同じです。
中高年以降の人生に必要な医療保障を特約でカバーするのであれば、一定期間だけの保険ではなく、死ぬ迄持つはずの保険、例えば終身保険などに付帯させなければなりません。
子どもの学費が必要な期間など一定期間だけを保障する定期保険は、親の人生の半ばで終わります。
ここに特約をつけても終身の保障継続ができません。
同じく、住宅ローンが終わったら、団体信用生命保険も終わってしまいます。
つまり、団体信用生命保険の三大疾病特約は悪くはないが、本当にがんになったときには、それだけでは十分ではないというものなのです。
単体の医療保険を活用する方法も
次に、特約ではなく単体の医療保険で準備することを検討してみましょう。
三大疾病といいながら、心筋梗塞や脳卒中は健康保険のカバー範囲が広いもの。
がんにかかり、様々な先進的な治療を取り入れたときの費用とは比べ物にならないことが一般的です。
であれば、単体の保険としてがん保険だけを利用するという選択肢もあります。
終身の保障をつけたとしても、掛け捨て型なら保険料負担も少なくて済みます。
貯蓄型のがん保険もありますが、保険料は割高。解約したら解約返戻金が返ってくるものですが、解約した後はがんになっても保障はありません。
がん保険などの医療保険を考えるのであれば、まずは掛け捨て型の一生涯の保障を検討するとよいでしょう。
医療保険は貯蓄との兼ね合い
特約でも単体の保険でも、一生涯の保障を考えた医療保険は原則として掛け捨てになります。
これは専門家の間でも長く議論され、なかなか結論がでないことなのですが、この局面においては「掛け捨ての医療保険を持つのと、貯蓄するのとでは、どちらが正解か」という悩ましい問題が浮上するのです。
つまり、いざとなったときに医療費をカバーできる貯蓄を持っておけば、がん保険はいらないじゃないか、もしがんにならなかったとしたら現金であれば使い道がいくらでもあるじゃないか、という議論です。
親族にがんを発症した人が多く、遺伝的な不安があれば保険契約を優先することも正解です。
すでに貯蓄が多額にあればあえて医療保険に交換する必要もないでしょう。
自分の問題として答えをだすのであれば、「保険契約か貯蓄か、自分だったらどちらが安心か」によって考えるべきであろうと思います。
まとめ
団体信用生命保険の三大疾病特約と家庭に必要な保障についてお話してきました。
- 団信+生命保険で、重複なく、必要な保障を準備することが原則。
- 団信の三大疾病特約で住宅ローンはなくなるが、医療費などの保障はなし。
- 医療特約をつけるなら、一定期間で終わる保険ではなく終身保険に付帯推奨。
- 医療保険か貯蓄かは答えの出ない議論。がん家系であれば保険はおすすめ。
金融商品に新たなサービスがつくと、選択の幅が広がる分悩みも多くなります。
「ないと非常に困る」保障だけを買う、という原則に立ち戻って、シンプルに考えていきましょう。
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