はじめに
住宅ローン返済期間の中盤から後期のライフステージは、子どもの教育資金の目処がつく熟年期。
残る大きなライフイベントは老後生活です。
これまで子どもの成長のために使っていたお金を、自分たちの老後の費用へと振り替えていきます。
老後の生活費を月額25万円と見積もると、年間の必要費用は300万円、60歳から85歳までの25年間となれば総額7,500万円の費用が必要です。
厚生年金に40年近く加入していたご家庭では5,000万円程度の公的年金が受給できる場合もありますが、それでも2〜3,000万円の別途資金の準備を考えておかなければなりません。
それまでの節約姿勢はそのままに、この年代では、資金運用目的の見直し・運用方法の変更など、資産構成の再構築が必要となります。
教育資金と生命保険見直しの関係
まずは余剰資金のありかを確認しましょう。
これまで教育資金として貯蓄・支出してきたお金が新たな余剰資金となるはずです。
加えて、親に万が一のことがあったとき、子どもの生活費や教育費のためにと用意しておいた生命保険があれば、これも見直す好機です。
子どもが経済的に自立したなら、もう子どもの生活費と教育費をまかなう保障は必要ありません。
自分に万が一のことがあったときの配偶者の生活費を補填することだけが、これからの生命保険の主な目的となります。
そして、配偶者の生活費総額のすべてを生命保険で準備する必要はありません。
公的年金がカバーしない部分だけでよいのですから。
厚生年金に加入している夫が亡くなったとしたら、専業主婦の妻には遺族厚生年金が支給されます。
これに、40歳以上65歳未満の妻であれば中高年寡婦が加算され、妻が65歳になると妻自身の老齢年金も支給されます。
必要な保障金額は、ずいぶんと少ないものとなり、保険料負担を軽減できます。
必要な保障内容と保障金額を厳選し、生命保険を圧縮して余剰資金を確保することは、この時期の大切なプランといえます。
繰上げ返済はこまめに期間短縮選択
無理のない老後生活のために、住宅ローンは定年までに完済することを目指します。
返済期間短縮のためには、繰上げ返済は積極的に行いましょう。
繰上げ返済は一時金を追加返済し、負担を軽減する方法。
繰上げ返済をすると支払い利息が軽減されますので、ほとんど殖えない低金利の定期預金にお金をおいておくよりも運用効果が高いものとなります。
繰上げ返済には、毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする「期間短縮型」と返済期間を変えずに毎月の返済額を減額する「返済額軽減型」がありますが、老後資金設計のためには「期間短縮型」が圧倒的にお勧めです。
こまめな繰上げ返済を実行しましょう。
ただし、繰上げ返済には手数料や諸費用がかかることもありますので、利用している住宅ローンの条件を確認してください。
ネット手続きなら手数料無料としている会社も多くあります。
また、住宅ローンによっては1万円からでも繰上げ返済できるものもあれば、最低50万円からというところもありますので、手数料とあわせて利用中のローンの条件を確認しましょう。
老後資金は早めに着手
若いときには必要な支出が多く、老後資金設計は後回しになりがちですが、健康で長生きすれば老後はだれにでも訪れるもの。
できれば早めに準備を開始し、長い期間の運用を心がけましょう。
お金は複利で運用すると、元金が利子を生み、利子がまた利子を生むようになります。
複利運用の期間が長いほど利子を生む回数が増えることになりますのでより効果が大きくなるのです。
そして、可能な限り節税を心がけながら運用することも大切。
税金をとられずに複利運用すれば、さらにお金が殖えるスピードが上がります。
利子が非課税の制度といえば財形制度が代表格。
頭金作りのための住宅財形が終わったら、月額掛金を少なくして、若いうちから年金財形を始めるのも良い方法です。
老後資金は積極運用も可能
早くから始める老後資金準備なら、株式や債券、外貨建てなどの金融商品で積極的にリスクをとった運用をすることもお勧めです。
リタイア生活開始まで15年以上あれば、株式運用でプラスを出すことも可能ですし、万が一のときにもやり直しは十分効きます。
ここでも節税効果の高い仕組みを優先的に活用しましょう。
職場に退職金制度として企業型の確定拠出年金が導入されているなら、老後資金準備はマッチング制度の利用が最優先。
掛金は全額所得控除の対象であり、利子・配当の利益も非課税です。
企業型確定拠出年金の加入者でない方や自営業者であれば、個人型の確定拠出年金が利用できます。
個人型の場合には手数料を自己負担しなければなりませんが、掛金や利子・配当の税制優遇措置は企業型と同じですから、節税効果でまかなえるケースが多いのです。
確定拠出年金制度は、銀行や生命保険会社などを窓口として加入する制度であり、提供されている商品の中から自分で運用先を選んで老後資金を運用します。
商品には定期預金などの元本確保型商品の他、株式投資信託や債券投資信託もラインナップされています。
株式投資や債券投資に興味はあったけれど機会がなかった、という人は、まずは税制優遇措置のある制度の中で始めてみるとよいでしょう。
確定拠出年金は原則として60歳まで引き出すことはできません。
老後資金としてお金を色分けするにも良い仕組みです。
まとめ
住宅ローン返済の中盤以降の資産形成についてお話してまいりました。
ポイントは以下のとおりです。
- 教育資金の目処がたったら、老後資金設計にも目を向けよう!
- 子どもが自立したら生命保険を見直し、余剰資金を確保!
- 定期預金に置くぐらいなら、そのお金は期間短縮型の繰上げ返済へ!
- 老後資金は税制優遇制度の利用を優先! 株式・債券・外貨建て運用も可能!
節約習慣がすっかり生活に馴染み、子どもにお金がかからなくなったら、早めに老後資金にシフトが鉄則。
株式や外貨など、リスクが大きく、その分リターンも期待できる商品の利用も、長期運用ならチャレンジできます。
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