マンション内でのお付き合いの難しさ
築25年の中古マンションを購入し、5年前に入居しました。
都心まで電車で45分の神奈川の郊外で、駅から徒歩5分の立地です。
始発駅のため都心部に通うにはうってつけで、とても良い買い物をしたと当初は夫婦ともども喜んでおりました。
しかし、その喜びも次第に後悔の念に変化していきました。
一戸建てのほうが「自治会などの付き合いが面倒」という声を聞きますが、マンションはそれ以上だということに気がついたからです。
私が入居した時、そのマンションに「オーナーとして」居住していた世帯は全部屋の半分程度でした。
つまり、残りの半分は25年前に購入した居住者から借り受けた賃借人だったのです。
マンションは自分の部屋の内側だけが自分の所有物、廊下やエントランス、さらには自分の家であってもベランダや玄関扉などは共有物です。
共有物の管理は管理組合の合意のもとに進められなければいけませんが、賃借人は「ただオーナーから借りているだけ」なので、自分も管理する主体だという参加意識は極めて薄いのです。
規約上、オーナーから与えられた義務として参加しなければいけないのですが、借りてくれる人にそこまで強く言うオーナーもいません。
その結果、ゴミ出しのルールを守らない、バルコニーでたばこを吸うなどの行為が横行。
管理会社から何度注意させても効果なし。
住環境としては最悪なものでした。
また、マンションの住民として自治会の加入も強制ですので、輪番の役員になった場合に一戸建てと同様のお付き合いをせざるを得ませんでした。
しかも、このマンションでは賃借人は輪番の頭数に入りませんので、2年に1度のペースで何らかの役割をこなさなければいけませんでした。
注文住宅などの一戸建てであれば、自分の責任において土地と建物すべてを守ることができます。
その点、こういった管理の破たんしたマンションを購入することで、とんでもないリスクを背負うこととなりました。
まさに失敗です。
中古マンション VS 新築マンション
中古マンションですから、入居時にリフォームしました。
総額500万円の大規模な工事です。
水周りはもちろんのこと、壁の仕切りも壊して広いスペースを確保。
注文住宅さながらのカスタマイズ性だと喜んでおりましたが、それも失敗に終わりました。
見てはならない文字を見てしまいまったからです。
新築時の設計図書を管理会社から取り寄せ、現状を確認していた時のことです。
25年前には平気で使われていた「アスベスト」の文字。
壁の中に僅かに使われているだけとはいえ、妊娠中の妻の情緒が不安定になりました。
妻はもともと喘息もちで、アレルギーや化学物質にも多少過敏に反応するタイプだったため、余計に気を病んだものと思います。
リフォーム施工完了後、専門の測定業者に依頼して人体に影響がないことは確認しましたが、せっかく大金を出して購入した「理想の自宅」に暗い影を落としたことは言うまでもありません。
苦い経験を通して悟ったこと
「理想の自宅」の定義は人それぞれだとは思います。
でも1つ言えることは35年も先まで背負うローンがあるということです。
人生を賭けた大きなプロジェクトであるわけです。
マンションは駅から近い立地を選択できることに加え、比較的コストを抑えて入手できマイホームではありますが、そのメンテナンスをするために必ずしも協力的ではない「赤の他人」と合意をしなければならないというのはあまりにリスクが大きいと感じます。
また、一戸建てと言っても建売分譲住宅のように「誰」が「どのような素材」で、「どのようなプロセスで」建てたのかが分からない場合は、欠陥住宅などの思いもよらぬリスクを背負うことになりかねません。
「理想」の実現のためには、自分たちの想いをダイレクトに反映できる必要があるのだと痛感しました。
おそらく、それこそが新築の注文住宅だったのでしょう。
コストが高くても住宅選択のカテゴリから決して淘汰されないわけがようやくわかりました。
私たちは今の住居の売り手を探しています。
幸い大規模なインフラ開発が駅前で予定されており、この街の路線価は比較的高い水準を維持しています。
信頼できる仲介業者を探せたお陰様で何とかうまく買い手が見つかりそうなところまで来ております。
この失敗を糧に今度こそ「理想」を実現させるため、次は新築の注文住宅を購入できるように家族で奮闘しています。